管理会社と管理組合の契約関係は、民法643条の委任契約に属すると考えられ、管理組合が委託者、そして管理会社が受託者という関係にある。
また業務内容の中には、請負契約に属するものがある。清掃業務、設備点検業務などがこれに該当する。
管理組合がマンションの管理業務の一部を管理会社ではなく、別の専門業者に発注する場合、管理会社がどこまで業務を担うのか、その業務範囲について意外と知られていない。
管理会社の業務範囲
管理会社以外の業者にマンションの管理業務の一部を発注する場合、管理会社の業務範囲について、管理委託契約書にそれが記されている。
国土交通省が作成しているマンション標準管理委託契約書、これが契約書のガイドラインになるのだが、この契約書の別表第1「事務管理業務」の末尾にこのような記述がある。
乙(管理会社)は、甲(管理組合)が本マンションの維持または修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。
この赤字の部分が、管理会社の業務範囲となる。管理委託契約書によっては、この記述が除外されていたり、変更されていることも考えられるが、管理組合に不利な内容になっているのなら、それは正すべきだと思う。
管理会社の多くは、この「マンション標準管理委託契約書」に準じて契約書を作成している。このガイドラインが存在する以上、管理組合にとって、これを下回る契約内容では困る。
マンション標準管理委託契約書についてもっと知りたい方は、国土交通省のホームページのリンクを下に貼っておくのでコメントなどを確認してみるといい。
管理会社の口癖
契約先を決める権利は管理組合側にある。それに管理会社に全ての業務を委託する必要はない。業務の一部を管理会社以外の業者に依頼する際に、前述の管理会社の業務範囲を知っていれば躊躇せずに実施に踏み切れる。
理事の中には、「管理会社以外の業者に仕事をお願いしたら管理会社が対応しないのでは?」、そんな不安の声が上がる。これが足枷となり実施に踏み切れない理事会もいらっしゃると思う。
管理会社の中には、「契約してないから直接業者に言ってください!」「契約してないから直接管理組合に言ってください!」、そんな言葉を管理会社時代によく耳にしてきた。だがしかし、管理委託契約書に前述の管理会社の業務範囲の記載があれば、それは管理会社側の契約不履行になる。
管理委託契約書は重要である。本来契約書というのは双方の意向で作成されるものだ。管理会社の業務範囲をもっと分かりやすく広範囲に見直すこともできる。
管理組合主導型の管理を目指そう!