管理会社

マンション管理会社|契約外の業務でも管理会社には義務がある!

2017年5月31日

 

管理会社と管理組合の契約関係は、民法643条の委任契約に属すると考えられ、管理組合が委託者、そして管理会社が受託者という関係にある。

また業務内容の中には、請負契約に属するものがある。清掃業務、設備点検業務などがこれに該当する。

管理組合がマンションの管理業務の一部を管理会社ではなく、別の専門業者に発注する場合、管理会社がどこまで業務を担うのか、その業務範囲について意外と知られていない。

 

管理会社の業務範囲

管理会社以外の業者にマンションの管理業務の一部を発注する場合、管理会社の業務範囲について、管理委託契約書にそれが記されている。

国土交通省が作成しているマンション標準管理委託契約書、これが契約書のガイドラインになるのだが、この契約書の別表第1「事務管理業務」の末尾にこのような記述がある。

別表第1-1(3)三
乙(管理会社)は、甲(管理組合)が本マンションの維持または修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等)を外注により乙以外の業者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認を行う。

この赤字の部分が、管理会社の業務範囲となる。管理委託契約書によっては、この記述が除外されていたり、変更されていることも考えられるが、管理組合に不利な内容になっているのなら、それは正すべきだと思う。

管理会社の多くは、この「マンション標準管理委託契約書」に準じて契約書を作成している。このガイドラインが存在する以上、管理組合にとって、これを下回る契約内容では困る。

マンション標準管理委託契約書についてもっと知りたい方は、国土交通省のホームページのリンクを下に貼っておくのでコメントなどを確認してみるといい。

▶ 国土交通省HP



管理会社の口癖

契約先を決める権利は管理組合側にある。それに管理会社に全ての業務を委託する必要はない。業務の一部を管理会社以外の業者に依頼する際に、前述の管理会社の業務範囲を知っていれば躊躇せずに実施に踏み切れる。

理事の中には、「管理会社以外の業者に仕事をお願いしたら管理会社が対応しないのでは?」、そんな不安の声が上がる。これが足枷となり実施に踏み切れない理事会もいらっしゃると思う。

管理会社の中には、「契約してないから直接業者に言ってください!」「契約してないから直接管理組合に言ってください!」、そんな言葉を管理会社時代によく耳にしてきた。だがしかし、管理委託契約書に前述の管理会社の業務範囲の記載があれば、それは管理会社側の契約不履行になる。

管理委託契約書は重要である。本来契約書というのは双方の意向で作成されるものだ。管理会社の業務範囲をもっと分かりやすく広範囲に見直すこともできる。

 

管理組合主導型の管理を目指そう!

 

 


-管理会社

執筆者:

関連記事

借入れを勧めるマンション管理会社には要注意!

  大規模修繕を行う際にお金が足りずに困っている管理組合は少なくありません。そこで管理組合内に色んな意見が飛び交います。 ▶ なぜ借入れを行うのか?▶ 工事費は妥 …

モンスタークレーマーはマンション管理会社だけの問題ではない!

    マンション管理会社の考え方というのは、最近かなり変わってきています。特にモンスター住民が存在するマンションでは、その対応に苦慮し、適正な管理が行えないという理由で管理会社か …

マンション管理会社|売上目標だけを打ち立てる無能な経営陣たち!

  顧客がいるから経営というのが成り立つ。   近年のコロナ禍できっと多くの経営者たちが思い知らされたことであろう。     そんな中、マンション管理会社の商売 …

マンション管理会社はブローカー業

  ブローカーとは仲介人、仲立人を指す。 不動産会社は土地や建物などの不動産を紹介して手数料を得る。この仲介が本業である。そして管理会社というのは、その不動産会社の子会社もしくは別部門で設立 …

マンション管理会社が信用されない理由!

  今年も残りわずかとなりました。皆さん充実した1年を過ごせましたか? いよいよ来年2020年は東京オリンピックが開催されます。とても楽しみにしていますし、もちろん日本は活気付く年になるでし …




 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

 ブログ内検索
 カテゴリー