マンションの管理組合の総会は、出席することに意義がある。
自分のマンションのことで話し合いをするわけだから、出席するのは当然のことのように思える。状況によっては、仕事とか家庭の事情で出席できないときもある。そんなときに備え、委任状とか議決権行使書が存在する。
これはあくまで個人的な考えになるのだが、実情はどうだろう。
総会出欠票すら出さない。
何度も催促しないと提出しない。
マンションに対する無関心さがそこからも窺い知れる…
未提出者が多いマンションでは総会が開催できないとか、特別決議を要する議題が生じれば、その決議ができない、そんな事態に陥る。
私の管理会社時代の話になるのだが、掲示でお知らせしても提出がなされないから、催促の電話を入れたり、状況によっては訪問して総会出欠票を手回収していた。
電話や訪問する中で、「総会議案書が見当たらない」「無くしたからその書面をいただけますか」、そんな話を聞かされた。そのときに同じマンションを所有する者として虚しく感じた。
総会の出欠票と言えば、昔は「出席通知書」「委任状」の2つしかなかった。近年では、議決権行使書を採用している管理組合が増えている。その多くが管理会社によって書面形式が変えられた感は否めない。
委任状よりも議決権行使書を利用する方が回収率はかなり高くなる。それと同時に出席者が減ったりもする。議決権行使書に変えるのも良し悪しはあると思う。個人的には合理的な手段だと感じているのだが…
議決権行使書が多く採用されるようになったのは、区分所有法やマンション標準管理規約との整合性が理由のひとつに挙げられると思う。
区分所有法、マンション標準管理規約には、議決権の行使について以下の記述がある。
区分所有法第39条第2項(議事)
2 議決権は、書面で又は代理人によって行使することができる。
マンション標準管理規約第46条第4項(議決権)
4 組合員は、書面又は代理人によって議決権を行使することができる。
書面で議決権を行使する、これが「議決権行使書」に該当する。代理人によって議決権を行使する、これは「委任」になる。
このように書面による議決権の行使が規定されているから、委任状と併せて議決権行使書が採用されるようになったと思う。
私の住んでいるマンションの総会出欠票は、出席通知書、委任状、そして議決権行使書がセットになった書面形式になっている。
総会の組合員以外の代理出席は管理規約によって、「その組合員の配偶者又は同居する一親等の親族(未成年者は除く)」が認められている。
2週間前に総会の出欠票(総会議案書)が配付されるので、提出後にやむを得ず欠席することもあるから、毎度、委任状には配偶者である家内の名前を書いている。
議決権行使書は、状況によって家内が欠席することも考えられるから、各議案毎の賛成、反対は記入している。
この出欠票の下の注意書きには、このような記述がある。
▶ 出席通知書、委任状、議決権行使書は全て記入してください。
▶ 委任状、議決権行使書に記入がない又は判読不可並びに管理規約に反する場合は、議長に一任したものとみなします。
▶ 総会に組合員又はその代理人が出席した場合、議決権行使書は無効とします。
出席通知、委任状、議決権行使書がセットになっている場合、いずれかに記入してください、そんな書面をよく見かけたことがあるが、出席される方であれば、出席通知書に記入し、あとは白紙ということになる。
中には先を見越して、委任状、議決権行使書に記入される方もいらっしゃるだろう。
当日出席できればよいのだが、状況によって欠席することも考えられる。実際にそのようなケースは少なからずあると思う。
その場合、委任状は白紙、議決権行使書も白紙だから、一般的によく用いられている議長への委任になる。議長への委任は、票集めなど色んな問題が指摘されているが、善意の議長からしてみれば、不本意な嫌疑となろう。
それに個々の組合員の意思を総会決議に反映させる、これが委任状、議決権行使書の目的だとすれば、「いずれかに記入」ではなく、「全て記入」にしておいた方がいい。
上記の注意書き「管理規約に反する」というのは、委任において代理権を持たない者が総会に出席することを意味する。
総会の途中で出席されるケース、逆に途中で退席されるケースが考えられる。議決権行使書に記入しておけば、その場合、自分の1票が投じられる。
重複することを敢えて行い、矛盾を解く。
このような総会出欠票を私の住んでいるマンションでは用いている。
総会出席票の考え方については、管理組合毎に異なると思うが、何も気付かなければ今のまま、少しでも関心を持てば、必要に応じて変えることもできる。