マンション管理を行うために管理組合という組織が存在するのだが、その組合員の皆さんのほとんどが最初は未経験であるため、そう簡単にマンション管理は行えるものではない。
仮にマンション管理の知識とか経験が持てたとしても、自己主張が通らないことが多いし、周りとの温度差を感じることがある。
分譲マンションの管理というのは、難しいところが多々存在する。私の住んでいるマンションもそうだが、管理会社時代にそれを実感させられた。
最初は誰でも分からないことだらけである。
だが、物事の本質を知ることでマンション管理に関わる色んな問題が解決できたりもする。これは私が理事長時代に経験によって悟ったことでもある。
物事の本質を見極めることが大切!
例えば「管理委託料が高い」、そのように感じるのには必ず理由があると思う。他と比較してとか、提供しているサービスが低い、そんなときに感じるだろう。この理由こそが「物事の本質」である。
更に物事の本質を深く掘り下げて考えてみる。
前述の「他との比較」について、例えば管理委託料を別の管理会社と比較することでそのように判断することもできるのだが、それが高いから管理組合が無益だとは一概に言えないところがある。そこにもし付加価値があるとすれば、妥当な料金だと感じる方も中にはいらっしゃると思う。
一方の「提供しているサービス」については、個々の価値観によってその評価は異なるから、当人は低いと感じても、他の方たちは違った意見であったりもする。
実際にアンケートをとってみると、色んな意見が出てくるし、管理会社の評価というのは個々に異なっている。これも経験則によるものだ。
そこで「本質を見極める」ことが重要になる。
例えば、公平なサービスが提供されていない、契約不履行がある、善管注意義務違反がある、情報漏洩、業法違反による行政処分など、誰もが良しとしない事象が起これば、そこに共通認識(共通の理解)が生まれる。
集団組織の場合、この共通認識は重要になる。何が正しい、何が間違っているの判断を行う際に共通認識というのは欠かせない。
管理会社に対する不満で多く聞かされたのが「対応が遅い」、この遅いの度合いは人それぞれに考え方は異なるだろうし、「対応が早かった」もしそんな意見が上がれば、どっちつかずで終わってしまう。
なので、物事を主観的に捉えるのではなく客観視することが大切だと言える。関係者のより多くの意見を聞く、これにより客観的な判断というのが行える。
物事の本質を見極めるには、色んな角度から物事を捉える必要がある。
この本質を見極めることで適切な判断が行える。だからマンション管理に関して何かと評価基準を唱える専門家たちが多い。
「因果の道理」という言葉を皆さんご存知だろうか。お釈迦さまの教えの中に出てくる言葉であるが、「因果」とは原因と結果のことで、「道理」とはいつでもどこでも変わらないという意味を持つ。
どんな結果にも必ず原因がある。そしていつの時代もそれは変わらないという意味の言葉なのだが、物事の本質というのは、この原因の部分に該当する。
良いタネを蒔けば良い結果が生まれる、逆に悪いタネを蒔けば悪い結果しか生まないことを意味する言葉でもある。
マンション管理には色んな物事(結果)があって、そこには本質(原因)がある。
この「因果の道理」という言葉からも、本質の大切さが窺える。
例えば、何かトラブルが起きる、そこにルールが無いから起きる。この「ルールが無い」、これが原因となる。
ルールがあってもトラブルが起きることもあるだろう。そこには必ず理由というものがあるはずだ。そのルール自体を知らない。だったら、管理組合のルールを周知させる必要があろう。
言わなくてもそれを知ることが所有者の義務だと思われる方が中にはいらっしゃるかも知れないが、実際に自分のマンションの管理規約を把握されている方はそうはいないと思う。
マンション管理のことについて誰も教える人がいない、そこに問題がある。失礼な言い方になってしまうが、初歩的なことが出来ていない、だから周知は必要になると思う。
マンション管理について教える人がいない、これも物事の本質の部分に該当する。
いつもの如く、くどい記事になってしまったが、物事の本質を見極めるというのは本当に大切なことだと思う。