理事長

理事長の経験を通じて学び得たこと!

2023年1月14日

 

分譲マンションの管理は難しい…

それが私の理事長時代の経験から学び得た答えなのかも知れません。

戸建住宅や賃貸マンションであれば、所有者はひとりですから、その不動産を自己判断で管理することができます。他人から干渉されることはないし、他人に気を遣う必要もありません。ただし、家族や身内から干渉されることはあるかも知れませんね(笑)。

分譲マンションの場合、複数のオーナーがいらっしゃるから本当に大変です。独断では行えないし、他人から干渉されたり、他人に気を遣うことが本当に多いですよね。

 

やっぱり戸建住宅の方を買えば良かった…

 

新築マンションを購入して5年くらいはそのように感じましたね。

私の住んでいるマンションでは、当初に色んな問題がありすぎて大変でした。1期目の途中に理事長に就任し、3期まで理事長を引き受けましたが、当初3年間、マンション管理の見直しを行い、とても苦労した経験を持ちます。

この見直しは、自発的に行ったわけではありません。最初の設立総会のときに、ひとりの所有者からマンション管理の見直しの必要性について説かれ、総会に出席された多くの所有者たちがそれに賛同し、早々に見直しを行うことになりました。

総会に出席した管理会社のフロント担当者とその上席者は、理のある説明に圧倒されタジタジとなり、見るも無残な揉めに揉めた総会でした。最初の総会がこれでしたから後の理事長のなり手がいなくて、理事長の押し付け合いになりました。

結局、言い出しっぺの所有者が理事長に就任することになりました。そして後日開催された臨時総会で1期目の副理事長に私が就任することになりました。

ところがその言い出しっぺの理事長が就任直後に転勤になり、結局私が1期目の途中から理事長に就任し、なり手がいないから2期、そして3期の理事長に就任する羽目になりました。

当時の私は、自分の住んでいるマンションとは無関係の分譲会社(俗にいうマンションデべロッパー)に勤務し、マンションの土地の仕入れとか、どのようなマンションを建設するのか、そのプラニングの部署で働いていましたから、マンション管理についてはペーパー程度の知識しか持ち合わせていませんでした。

私はこの3年間で本当に色んなことを学びました。この経験が功を奏して? マンションを作る仕事から、建物を管理する仕事に転身しました(笑)。



マンション管理に対する関心とか問題意識というのは、自分の身に大きな出来事が起きない限り、普通持ち得ないと思います。

マンションを購入した当初は、マンション管理について関心すらなく、普段生活する中で問題だと感じることは正直ありませんでした。そしてマンション管理は管理会社が行うものだと思っていましたからね。

仕事が忙しくてマンションで何が起こっているのか知り得ませんし、最初の頃は見知らぬ住人さんばかりだから、会釈程度で言葉を交わすことはなかったです。これは私に限ったことではないと思います。

 

理事長になって気付いたこと…

私が理事長に就任して気付いたことは、管理会社と管理組合との間に大きな垣根があって、管理会社は管理組合の目線で仕事はしておらず、自分たちのことしか考えていないということです。トラブルでも解決優先という考え方ではなく、いかに責任を回避するか、感覚のズレがとても大きく、そこで色んな問題意識を持つようになりました。

これではマンションは良くなるどころか悪くなる一方だと感じました。面倒な理事長を引き受けたのも、そこに“自ら改革”という使命を感じたからです。

 

毎期の予算は、管理会社のための予算と化し、無知な管理組合であることを承知で好き勝手にお金を使っていました。収入の大半が支出に消え、貯めるべきはずの修繕積立金が一般会計の経費に充てられていました。

エレベーターの保守点検は3ヶ月無償なのに初月から料金が徴収されていました。管理会社が元請けだとこのようなことが起きます。

管理規約は他のマンションの使い回しで内容は矛盾だらけ、マンション名が違う議案書が配付され、総会時にこちらが指摘してようやく気付く始末。

管理会社の社用車を契約区画に勝手に止めるし、しかも契約者である住人の承諾無しに勝手に長時間駐車していました。所有者には号室が表示された紙の許可証を渡し、来客用駐車場を使用する際にはその紙を外から見える場所に置くように管理会社から指示を受けましたが、自らの車両には名刺すら置いていません。

漏水事故が発生した際、親会社(分譲会社)に気を遣ってか、2ヶ月要しても原因が分からずそのまま放置状態。そこで第三者の有識者に調査してもらい、設備に欠陥が見つかり、それが漏水の原因でした。

他にも色んな不具合がありましたが、管理会社(子会社)は分譲会社(親会社)寄りの考え方が根強く、誰に向いて仕事をしているのか疑問に感じました。結局のところ、管理組合側の味方(擁護する立場)にはなれないことに気付きました。

管理員は業務時間に足を組んで新聞・雑誌は読むし、全館禁煙にも関わらず管理員室で喫煙はするし、照明のチェックで全灯させ、そのまま帰ること数回…

他にも書きたいことは沢山ありますが、これ以上書くと変人扱いされるので、この辺で止めておきます(笑)。

本当に色んなことがありすぎて、入居開始の半年後に開催された設立総会で所有者たちの不満が一挙に爆発しました。

その後の火消しには本当に苦労しました。言い出しっぺは途中で居なくなるし、知らないことが多すぎて、仕事と両立するのはとても大変でした。それに決め事でも色んな意見が多過ぎて合意形成を図ることの難しさを痛感しました。

理事長というのは、所有者(住人)の共通の利益、これを常に考えねばなりません。本当に気を遣うことが多すぎて苦労の絶えない3年間でした。

我がマンションは、落ち着くまでに5年の月日が掛かりました。

当初に色んな問題を整理しそれらを解決できたから、あれから20年以上が経ちますが平穏に暮らせてます。なので、何事も早めが肝心ということです。

 


 

-理事長

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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