マンションは自分の所有物だからといって好き勝手に使用することはできません。そこには、使用上の制約というものがあります。
しかしながら、ルールを守らない方が中にはいらっしゃいます。例えば、共用廊下やバルコニーに緊急避難の妨げとなる私物を置いたり、バルコニーに落下の恐れのある布団を干したり、無断で専有部分を改築したり、駐輪場・駐車区画以外の場所に車両を止めたり、ゴミ出しのルール違反などが挙げられます。
最初はひとりだったのが、誰かがそれを見て真似をする、そしてどんどん秩序が乱れ、住みにくいマンションと化します。これが集合住宅には潜んでいます。
そうならないために管理規約、使用細則というものがマンションには存在しますが、どんなに立派なルールを作っても、当人たちがそれを認識しなければ意味を成しません。誰かが注意を与えなければ改善されることはありません。
実情はどうでしょう?
見て見ぬ振りが多いのではないでしょうか。
マンションに対して無関心とかルールを知らない、同じ住人だからという遠慮がそこにあったりもします。
ですが、見て見ぬ振りがやがて自分たちの身に降りかかってきます。トラブルになってからアクションを起こす、そこでようやくルールを知る、これが実情として多く見受けられます。
トラブルになると精神的な苦痛を味わいます。その対応にも苦慮します。そうならないためにも、前もってルールは知っておくべきです。
管理会社の役割
管理会社は管理組合支援、理事会支援の補助業務を担いますが、共用部分に関わるトラブル対応については、管理組合や理事会が主体となって成すべきこと、あくまで管理会社は補助という考え方を強く持っています。要するに事なかれ主義です。
見て見ぬ振りはトラブルを招くことを管理会社は一番理解しています。そしてルールの重要度も理解しています。ですが、管理会社による見て見ぬ振り、現実として多く見受けられます。
住人間の問題だから管理会社は我関せずという姿勢になっている感は否めません。住人から苦情があってようやく管理組合に報告する、そこから先は「理事会よろしく」です。
理事会はその対応に苦慮します。解決にあたっての知識とか経験を持ち合わせていませんし、同じ住人でもありますから。
そこで管理会社から提案されたとりあえずの掲示、それがとりあえずの対応になっています。
そもそも事が起きてから掲示だけで対処する、その考え方が間違っています。管理会社はこれまで多くのトラブルを経験しているわけだから、なぜ事前に手を打ったり、事前に助言したりしないのでしょう。
管理会社に対してそれまで培った経験を管理組合は大いに期待しています。これは私の管理会社時代に管理組合の声として多かったことです。なのにそれが全く生かされていません。
予防概念、これを管理会社は持ち合わせていない、だから事が起きてしまう。事が起きればその対応に苦慮することを管理会社は嫌というほど知っているはずなのに。
管理会社の役割というのは、トラブルを未然に防ぐこと、そこが重要な使命に思えて止みません。管理組合支援とか理事会支援の本来の意義はそこにあると思います。