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ペット飼育

マンションのペット飼育に関わる判例から学べること

2017年9月16日

 

ペット飼育可のマンションにおいて、犬または猫を飼われている方ってどの程度いらっしゃるのかご存知だろうか。過去に色んな機関が行ったアンケート調査のデータを見てみると2割という数字が目安になる。

 

私が管理会社時代に管理させていただいたペット飼育可のマンションでも、犬または猫を飼われている世帯は2割に満たなかった。ペット飼育が容認されているマンションでこの数字は少ないように思える。

ペットを飼いたいけれど「仕事で面倒が見切れない」「小さな子供がいるから」、そんな理由で飼わない方が多い。逆に考えれば、世帯の8割がペットを飼っていないことになるのだが、ペットに纏わるトラブルは後を絶たない。

国土交通省が5年毎に実施しているマンション総合調査において、居住者間のマナーに関するトラブルで、平成11年度の調査では第2位、平成16年度、平成20年度、平成25年度の調査では第3位と常にペット飼育が上位になっている。ちなみに1位は違法駐車、2位は生活騒音である。

ペット飼育に関わるトラブルをめぐり、中には裁判にまで発展するケースもある。これまでの判例を考察してみると、マンションにおけるペット飼育を禁止する行為について、肯定的であることが窺える。

例えば、ペット飼育に関する規定を設けていないマンションが管理規約で犬、猫のペット飼育を全面的に禁止する、この規約の設定は有効である

区分所有法第6条1項に「共同の利益に反する行為をしてはならない」という定めがある。ペット飼育は、過去の判例においてこの行為に該当する。

区分所有法第6条1項

区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。

ペット飼育がこの条文の行為に該当するのか、そこが争点になるのだが、判例では次のように示されている。

マンション内における動物飼育は、一般に他の区分所有者に有形無形の影響を及ぼすおそれのある行為であり、これを一律に共同の利益に反する行為として管理規定で禁止することは区分所有法の許容するところであると解され、具体的な被害の発生する場合に限定しないで動物を飼育する行為を一律に禁止する管理規定が当然に無効だとはいえない。
(東京高裁平三(ネ)四四九〇号、平6・8・4民四部判決)

一方、飼育されている居住者からすれば、ペット飼育を全面禁止にされたら困るだろうし、それに対して異議を唱えるだろう。

区分所有法第31条1項において、規約の設定にあたり「区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」、このような定めがある。

区分所有法第31条1項

規約の設定、変更又は廃止は、区分所有者及び議決権の各四分の三以上の多数による集会の決議によってする。この場合において、規約の設定、変更又は廃止が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない。

ペット飼育が上記の赤字部分「特別の影響」に該当するのか、それが争点になるのだが、判例では次のように示されている。

犬が控訴人の家族の生活・生存にとって客観的に必要不可欠の存在であるなどの特段の事情があることを認めるに足りる証拠はない。したがって、本件規定改正は控訴人の権利に特別の影響を与えるものではない。(飼い主の身体的障害を補完する意味を持つ盲導犬の場合のように、飼い主の日常生活・生存にとって特段の事情がある場合には その動物の飼育を禁止することは飼い主の生活・生存自体を制約することになり「特別の影響」を及ぼすといえる)
(東京高裁平三(ネ)四四九〇号、平6・8・4民四部判決)



ペット飼育が認められているマンションでも、他人に迷惑をかける行為が続けば、ペット飼育ができなくなる。最悪、ペット飼育を全面的に禁止されるケースも考えられる。

ペット飼育者は自分だけの問題ではない。自分の行いが他のペット飼育者に影響を及ぼす。ここに注意が必要である。だからペット飼育可のマンションの多くは、ペットクラブなどを設立し、自主活動を行っている。

飼育可のマンションでは「他の住人に迷惑を掛けないように全員で努める」、この考え方が欠かせない。ペットクラブなどの組織がないマンションでも、ひとり一人がこの考えを持つことが大切である。

 

 

 


 



-ペット飼育

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