騒音問題

コロナ禍で急増するマンションの騒音問題!

2022年3月14日

 

 

長引くコロナ禍において、マンションの騒音に纏わる苦情が急増しているという記事をネット上で拝見しますが、私の住んでいるマンションでもそういった話を最近よく耳にします。

 

リモートワークの増加や外出自粛などにより、自宅に居る時間が長くなるので、集合住宅における生活音というのは増えます。

 

そこで上階の足音や物音などの生活音が気になったりもします。

 

 

敢えて「生活音」という書き方にしましたが、これが人によって「うるさい音」と感じればその人にとっては「騒音」になります。音の捉え方というのは個人差があり、感受性が関わってきます。

 

例えば、お子さんのいらっしゃる家庭では、上階のお子さんの足音を聞いても苦痛に感じることは少ないと思います。うちも下の階に迷惑かけているだろうなって感じて、多くは受忍できているのではないでしょうか。

 

一方の騒音の苦情を言われる方の多くは、相手方との家庭環境の違いや住戸の位置が関係してきます。例えば、お子さんがいらっしゃらない家庭とか最下階の家庭では、上階のお子さんの足音がうるさい音に聞こえたりもします。

 

そのように感じるのは、うちは足音で他人様に迷惑をかけていないという自負があるから、余計に腹立たしく感じるものです。

 

私の管理会社時代に騒音の相談を数多く受けましたが、隣人との騒音のトラブルの多くのは、こういった要因があることを知り得ました。

 

そこで管理会社に相談しても、やってもらえるのは掲示くらいで抜本的な解決に至らないケースが多いのが実情ではないでしょうか。

 

分譲マンションの場合、個人間の騒音については、管理会社の業務範囲外となります。深堀すれば、管理組合の業務ではないということです。これについて異論を唱える方がいらっしゃるかも知れませんが、色々と調べてみるときっとそこに行き着くと思います。

 

ネット上の記事を拝見していると、賃貸マンションの管理会社と分譲マンションの管理会社が混同されており、「管理会社に相談すれば対応してもらえる」、そんなことが書かれていたりもします。

 

確かに賃貸マンションの管理会社の場合は、家主から代理を受けて住戸内を含めた管理を受託しているので、住戸内に纏わるトラブル対応は業務の範疇となります。入居者を審査し、部屋を貸して賃料を得ているわけですから、苦情が生じた場合、対応するのは当然のことです。

 

しかしながら、分譲マンションの管理会社の場合は、住戸内(専有部分)の管理は対象外となります。(この記事の内容に錯誤が生じないよう、分譲マンションの管理会社のことを「マンション管理会社」と以下に記述します。)

 

なので、個人間のトラブルに首を突っ込むことはできません。例外として、同じ騒音でも、近所の建設工事の音がうるさく、マンションの住民の大多数が迷惑を被っているといったケースでは、管理組合が対応することもあるでしょう。

 

しかしながら個人間の騒音トラブルについては、あくまで個人間で解決するしか手立てはありません。個人間とは、上下階の関係とかお隣りさんとの関係がそれに該当します。

 

意外とそこを理解せずに、マンション管理会社が対応するのが当たり前といった錯誤がそこにあったりもします。この錯誤は、私の管理会社時代の経験を通じて感じ取れました。

 

マンション管理会社に相談したところで、騒音の注意喚起の書面を掲示板に貼るくらいしかできません。しかしながら、それ以上のことを求める方が中にはいらっしゃいます。

 

「直接注意を呼び掛けてほしい」って言われても、音の感じ方(感受性)は人それぞれ異なりますし、一方の意見だけを鵜呑みにして対応すると、大きなトラブルに発展しかねません。

 



 

先日、マンション管理士が書かれたネット上の記事を拝見し、「騒音が生じた場合、マンション管理会社に相談したら解決してもらえる」といったことが書かれていましたが、おいおい、それはマンション管理会社ではなく弁護士の先生方の仕事だよと言いたくなりました。

 

くどいようですが、マンション管理会社というのはあくまで管理組合から業務を受託しているので、個人からの依頼で動くことはできません。

 

そこを逆手に取れば、管理組合からの指示があれば動くのか?という話になりますが、管理組合が行う業務はあくまで共用部分の管理であって、個人間の問題に首を突っ込むのは筋違いな話です。

 

管理組合の理事長の中には、個人間の問題に首を突っ込む方がいらっしゃいます。そこでマンション管理会社に対応をお願いするといったケースがありますが、これも筋違いな話です。

 

理事長からの指示であれば断ることはできない、そこでフロント担当者が直接動くことが考えられますが、管理委託契約の業務外である以上、結果の責任は負えませんし、成果を求めるのはこれまた筋違いな話です。

 

分譲マンションにおける個人間の騒音問題は事例としてよくある話ですが、マンション管理会社は業務外の仕事であることを予め知っておけば、管理会社のネガティブな対応に頷けると思いますし、本当の意味での相談に変わります。

 

そこを知っていれば、対応に不満を感じることが少なくなると思います。実際にマンション管理会社が行えるのは理事長に許可をもらって行う注意喚起書面の掲示もしくは周辺住戸への投函くらいです。

 

長引くコロナ禍で騒音問題が増えているようですが、分譲マンションの騒音においては、マンション管理会社や管理組合に相談してもネガティブな対応となるため、当人にとっては頭を抱える問題です。

 

弁護士に相談するのは気が引ける、直接注意するのも気が引ける、手紙を書こうかなど、色々と悩むことが多いと思います。そこが分譲マンションの特有の問題なのかも知れません。

 

 


 

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 プロフィール

くるみ

くるみ

著者:kurumi

マンションデべロッパー、デべ系管理会社、建設会社勤務を経て、2004年に管理会社設立。
2017年に業界を離れ、今はフリーランスとして活動しています。
元業界人がマンション管理についてしがらみ抜きでガチで語っているので、是非読んでみてください。

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