2010年に日産のリーフが国内で販売され、電気自動車という言葉をよく耳にするようになった。将来の普及を見越し、一部のマンションデべロッパーにおいて、新築の分譲マンションに電気自動車専用の電気設備(電気コンセント、電気スタンド)が設置されるようになった。
新築マンションの導入にあたっては、一部の特定区画に充電スタンド、電気コンセントを設置し、電気自動車専用区画を設けるケースや、来客用駐車区画と同様に電気自動車区画を設けるケースなどがある。
新築マンションの場合、電気設備の配線、充電装置など設計に盛り込めば容易に設置が可能だが、既存のマンションの場合は電気容量、露出配線、設置箇所、費用負担、合意形成などの様々な問題もあり、普及していないのが実情である。
また、料金徴収方法、使用ルールも考えなくてはならない。
私は、実際に新築マンションの電気自動車導入に関わる料金徴収方法、使用ルール作りに携わったことがあるが、新築でさえ、これらを確立するのは容易ではない。
それに充電するのに要する時間も普及しない理由のひとつに挙げられる。これはマンションに限らず全体的に普及しない理由でもある。ガソリンスタンドの給油はそんなに時間は掛らないが、電気スタンドになると30分以上は掛かる。電気料金はガソリンの10~15分の1程度だから、民間で割に合わない電気スタンド経営などはしない。まだまだ地域のインフラ整備が十分ではないのが現状である。
だが一方で、電気自動車には停電時に蓄電された電気が他の目的に使用できるというメリットもある。特に自然災害における停電時に家庭用電源として使用できるのは魅力だ。
既存マンションの場合、電気自動車の普及の予感は意識しているが、実際に導入まで踏み切れない管理組合が多いのが実情であろう。
皆さんが乗られている自動車の大半はガソリン車であり、電気自動車の需要が過半数にならない限り、導入の進展は難しいように思える。
マンションの電気自動車についてもっと知りたければ、経済産業省が作成された「EⅤ・PHVの充電インフラに関する調査資料」が2017年3月に公表されている。下にリンクを貼っておく。
既存マンションに電気自動車の充電設備を設置することは現段階では難しい、だが今後どのように変わっていくのか、常にアンテナを張っていないと無関心では時代に取り残されてしまう。気付いたときには手遅れになることだってある。
エネルギー源の問題、ガソリン価格高騰など社会情勢は時代によって変わる。
一度は管理組合で電気自動車について話し合いは持つべきだと思う。これは理事会であっても構わない。
自分達のマンションには導入できない、仮にこれが話し合った結果であったとしても、きっと話し合ったことが何かに役立つと思う。
企業と違い、管理組合は結果が全てではない。その過程が大切だと思う。真剣に話し合う、そこには何か貴重な宝物が隠されているように思えてならない。