先日、「マンションにEⅤ充電器は必要?」と題した記事を書きましたが、管理組合でEⅤ充電器の設置について話し合う際に、対象となる「電気自動車」「EⅤ充電器」の基礎知識は先に身に付けておきたいものです。
家内に「電気自動車とかEⅤ充電器って何のことか分かる?」って尋ねたら、「電気自動車はなんとなく分かるけど、EⅤ充電器って何それ?」って返されたので、教えてあげると納得していました(笑)。
電気自動車は大きく4つに分類され、その中でEⅤ充電器を必要とするのは2つです。車に詳しい方とか電気自動車に興味がある方からしてみれば常識に思えるでしょうけど、人によってはそれが未知だったりもします。
理事会とか管理組合の話し合いの中で、一から説明してくれる人がいれば良いのですが、知っていることを前提に話をされると、今さら聞けない感が漂い、質問ができないまま話だけが進んでいったりもします。
今はスマホがあるので、分からないことがあればすぐその場で調べれるので便利です。私は総会のときによく使っています。
今回の「電気自動車とEⅤ充電器について知っておこう!」と題した記事がそういった時にお役に立てれば幸いです。
電気自動車について
電気自動車の言葉は色んな意味で用いられ、定義が曖昧なのでここでは経済産業省のホームページなどから引用した呼称を用います。
電気自動車(EⅤ)
電気のみで走行する自動車のことを指し、「BEⅤ」とも呼ばれています。このEⅤは、外部からの充電を要するためEⅤ充電器が必要になります。
ハイブリッド自動車(HⅤ)
ガソリンと電気を併用して走行する自動車のことを指し、「HEⅤ」とも呼ばれています。このHⅤは、外部からの充電を要しないためEⅤ充電器は不要です。
現在ガソリン車を追い越す勢いでHⅤは増え続けていますが、人気の理由は、EⅤ充電器が不要で燃費が良くて車種が多いことなどが挙げられます。なので、EⅤ充電器がないマンションには適した車だと言えます。
プラグインハイブリッド自動車(PHⅤ)
外部からの充電が可能なハイブリッド自動車のことを指し、「PHEV」とも呼ばれています。ちなみにトヨタでは「PHV」、他のメーカーは「PHEV」を用いています。今後、トヨタは「PHEV」に統一するそうです。
このPHⅤは、外部からの充電を要するためEⅤ充電器が必要になります。
燃料電池自動車(FCⅤ)
水素と酸素で電気を作り駆動用モーターで走行する自動車を指し、外部から気化した水素を充填する必要があります。
究極のエコカーと呼ばれていますが、EⅤ充電ステーションと同様に水素ステーションの数が少ないため、インフラ整備が課題になっています。
以上の4つが経済産業省で用いられている電気自動車の種類になります。
整理すると、マンションでEⅤ充電器を要する自動車は、電気自動車(EⅤ)とプラグインハイブリット自動車(PHⅤ)の2つです。
先日、日経クロステックのウェブニュースに「トヨタは2030年までに30種類のEⅤを展開する」といった記事が掲載されていましたが、特に欧州ではEⅤの需要が高いので、今後EⅤ車の開発が加速すると思われます。
日本のみならず世界全体においても、EⅤ充電器のインフラ整備が課題になっています。「卵と鶏」問題がそこにも垣間見れますが、個人的には「インフラ整備の方が先」だと感じます。
EⅤ充電器について
EⅤ充電器とは、電気自動車に用いる充電器のことを指し、「急速充電器」と「普通充電器」の2つに分類されます。
急速充電器
急速充電器は、3相200Ⅴの充電スタンド(ポール)型が主流です。道の駅、ガソリンスタンド、カーディーラー、商業施設などで用いられています。
走行距離160㎞に必要な充電時間は30分、80㎞の場合は15分になります。
急速充電器の本体価格は、メーカー、設置業者、グレードにもよりますが、1基あたり数百万円掛かります。これに設置費用が加わるので、仮に補助金が使えたとしても百万円以上の手出し金が必要になると思われます。
普通充電器
普通充電器は、単相交流100Ⅴと200Ⅴの2つに分けられ、100Ⅴは壁付けコンセント型、200Ⅴは壁付けコンセント型、壁付けボックス型、スタンド(ポール)型の3種類あります。
100Ⅴの充電時間は、走行距離160㎞で約14時間、80㎞の場合だと約8時間、200Ⅴの充電時間は、走行距離160㎞で約7時間、80㎞の場合だと約4時間になります。
普通充電器の本体価格は、壁付けコンセント型、壁付けボックス型、スタンド(ポール)型、それぞれに金額は異なります。
コンセント型は1個あたり数千円程度、スタンド(ポール)型、壁付けボックス型は1基あたり数十万円、これに工事費用が加わりますが、仮に補助金が使えた場合、手出し金が10万円から50万円程度に抑えることができます。
設置業者によっては、普通充電器の導入費用を無償とするプランがありますが、その場合、壁付けコンセント型に限定されたり、キャンペーンなどの期間限定とか条件付きとか、そこの確認は必須です。ただより高いものはありませんからね(笑)。
普通充電器は主に戸建住宅に用いられていますが、最近では、賃貸マンションに導入する事例が増えています。
充電時間に関する補足
前述の充電時間は経済産業省のホームページから引用していますが、急速充電器、普通充電器の充電時間は、車種ならびにEⅤ充電器の出力によって異なります。
以上がEⅤ充電器の概要になりますが、分譲マンションにEⅤ充電器を設置する場合、場所の問題とか費用の問題、工事内容、利用者数、利用方法、料金の課金方法、補助金、そして将来を見据えて検討しなければなりません。そこで色んな意見が出るでしょうけどね。
EⅤ充電器の設置にあたっては業者選びはとても重要になります。電気について知らないことが多いし、提案内容によって金額も違ってきますし、親身にアドバイスしてもらえる業者が理想と言えます。
最後になりますが、今回の記事の中に登場したアルファベットの略語、同じ意味なら統一してほしいものです(笑)。紛らわしさを解消するために「PHⅤ」から「PHEⅤ」へ統一することを宣言したトヨタはさすがですね。