リニューアルの時期について
マンションに設置されているエレベーターのリニューアル(全面改修)時期の目安は、25年から30年と一般的に言われていますが、実情として30年前後に実施されています。
リニューアルにあたっては、エレベーター会社から委託先の管理会社に対して部品供給終了の告知がなされ、そこで管理会社は管理組合へ改修提案を行います。
管理組合とエレベーター会社が保守契約を結んでいる場合は、エレベーター会社から直接管理組合に対して、その告知や改修提案がなされることもあります。
このリニューアルは、エレベーターの部品供給終了前に実施する必要があります。その告知が30年前後になされるので、この時期に実施する管理組合が多いというわけです。
管理組合によっては、長期修繕計画に沿って計画通りに実施されるケースもあります。またマンションの高齢化などにより、早めに実施する管理組合も見受けられます。
故障時にありがちな発想
20年を過ぎたエレベーターで故障した際に、多額の費用を要する場合にありがちな意見があります。
前倒しでリニューアルは行えないの?
修理とリニューアルを同時に実施する、そこだけを見れば合理的に思えますが、現実的に難しいところがあります。
リニューアルでは、多くの部品や部材を新たに調達する必要があるため、エレベーター会社が正式に工事を受注し、その部品が手元に届くまでかなりの日数を要します。なので、故障したからといって直ぐにリニューアルは行えません。
故障時においては、部品交換などの必要最小限の対応がなされますが、故障箇所によっては多額の費用を要したりもします。その後にリニューアルを行う場合、交換した箇所を含めてリニューアルが施されます。この場合、二重のコストが掛かります。
なので、故障対応とリニューアル時期が重なる場合は、そういった事が起こり得えますので注意を要します。
リニューアルを実施する場合、業者選定(メーカー選定)、仕様決定、予算の検討、合意形成には時間が掛かりますので、最低でも1年前には検討に入る必要があります。
リニューアルで優先すべきこと
エレベーターのリニューアルを計画される際に、費用のことばかりに目が向けられがちですが、優先すべきは生活への配慮だと思います。
工事期間中、2週間から1ヶ月程度エレベーターは完全停止します。この停止期間は、リニューアルの仕様、エレベーターのメーカーによってそれぞれ異なります。
仮に1ヶ月間、エレベーターが完全停止するとしたら、生活に支障を来しますよね。特に高層階に住まれているお年寄りの方、身体の不自由な方、妊婦さん、小さなお子様のいらっしゃるご家庭にとって、その長い期間、階段での上り下りは困難を来します。
最初から住まれている方は、30年の年齢が加算されます。今は足腰が丈夫でも一年後にどうなるかなんて知る術はありません。
なので、できるだけ早めに実施することが望まれます。そして階段での上り下りの際に手摺りが無いマンションでは、設置の検討は欠かせません。
私の管理会社時代に、リニューアルの際に手摺りの無い階段で転倒され、お年寄りが大怪我をしたという話を聞きました。
なので、管理組合でリニューアルを検討する際は、生活への配慮と安全面を優先的に考えて欲しいです。
<続きの記事はこちら👇>
▶ エレベーターリニューアル(全面改修)工事のポイント!後編