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建物・設備関連

分譲マンション|外壁のタイルの剥離は危険!

2017年7月16日

 

マンションやビルの外壁には、耐久性と美観に優れた「タイル」が一般的に使用されている。だが、その裏側では「落下リスク」という大きな弱点を抱える。

「タイル剥離」「タイル落下」、これらの言葉をあまり耳にすることはないと思うが、水面下ではこの事象が多く発生している。

過去に何度か、タイル落下の事故のニュースが報道されたが、それは氷山の一角に過ぎない。

マンション業界関係者、建設業界関係者であれば、この「タイル剥離」「タイル落下」という事象、これが寡少ではない事実を知っているだろう。

タイル落下の事象については、1枚、2枚が落ちるのではない。タイル一面(塊)が落ちてくる。また、老朽化によるものではなく、築後2年から3年で落下するケースが多く見受けられるのだ。

これは地震によって落ちるのではない。そこが怖い所でもある。

日本では建築物にタイル張りは当たり前に用いられているのだが、オーストラリア、スイスではこのタイル張りが法律によって禁じられている。

今回、このタイル剥離・落下について語りたい。

 

タイル剥離はどのマンションにもある

マンションというのは人の手によって作られる。だから完璧な建物などこの世に存在しない。このブログで何度も語っていることだ。

タイル張りも職人の手によって行われる。だから不具合というのは無くなることはない。

タイルの剥離はどうして起きるのか、色んな説があるのだが、私が知っている限り、施工不良によるものが圧倒的に多い。

 

タイル張りの工法は、設計仕様や建設会社によって異なる。また、コンクリート躯体の仕上がりの精度によって施工方法が変わってくる。一般的に用いられているのが、以下の図に示した施工方法だ。

▶ 下地調整無し

コンクリート躯体に貼付けモルタルを塗り、その上にタイルを貼っていく。この場合、平滑なコンクリート面に凹凸(目荒らしという ☞ 貼付けモルタルとの密着性を高める)を施す必要がある。この目荒らしには、超高圧水洗浄法や、サンダーを使用する方法などが用いられる。

▶ 下地調整有り

コンクリート躯体の精度が悪い(面が均一でない)場合は、コンクリート表面に下地調整モルタルを塗って平滑にする。次に貼付けモルタルを塗り、その上にタイルを貼っていく。

剥離の原因に挙げられるのが、使われる材料の伸縮力の差によって生じる歪(ひずみ)と言われている。この歪によって付着力の低下を招く。

材料の伸縮力は以下のとおりである。

タイル<コンクリート躯体<貼付けモルタル<下地調整モルタル

この伸縮は、1日レベルの寒暖差、季節レベルの寒暖差、これらの寒暖差によるものだ。伸縮が繰り返されることで歪を生じさせている。

もうひとつ剥離の原因として挙げられるのが、施工不良によるものだ。コンクリートの表層は平滑な面になっている。ゆえに前述の目荒らしを行う必要があるのだが、実際にタイルが落下した現場を確認してみると、コンクリートの表層部分がツルツルとした状態になっている。

出典:一般社団法人建築診断協会

このような平滑な面にタイルを貼ると付着率が下がり、コンクリートの面と下地調整モルタル(貼付けモルタル)との間に剥離が起きやすい。

目荒らしがきちんと施されないと、タイルの剥離そして落下という事象が起きやすい。実際に年数の浅いマンションのタイル落下の原因の多くがこれに該当する。

このコンクリートの表層部の目荒らしの下地処理がきちんと行われず、清掃程度で済ませるケースが多いと聞く。



剥離のチェックとその対応

剥離のことを「浮き」とも言うのだが、日頃の点検でそれを完全に見抜くことは不可能である。打診棒で浮き調査を行うにしても手の届く範囲に限られる。

少なからず、手の届く範囲で「浮き」が確認された場合は、注意を要する。高い個所での浮きも考えられるからだ。

私は何度か目視調査でタイルの浮きを発見したことがある。建物のすぐ傍に立って、下から真上を見上げてみると大きな浮きであれば、目視でそれを確認することができる。

浮きが発見された場合、保証期間内であれば事業主が無償で対応する。保証期間はアフターサービス基準書に記載されているのだが、一般的に2年から5年程度だと思う。

但し、築10年のマンションでも無償で施工会社が手直しを行った事例もある。なので、浮きが多い場合や実際に落下しているのであれば管理組合で手直しを行う前に事業主へ改善要請を行ってみるといい。

タイルの剥離を早めに発見すること、そして保証期間が終わる前のチェックはしっかり行うべきだと思う。打診棒を用いた簡易調査は最低でも行った方がいい。管理会社が毎月もしくは定期に実施する建物設備点検は、はっきり言って精度が低すぎる。デべ系ならこれに「信用できない」が加わる。

建物設備点検は身近な管理人が行うケースも見受けられる。研修をしっかり行えば、管理人による点検実施は可能である。これが実現できれば、管理会社に支払っている建物設備点検費が不要になる。

この節約できた費用で、第三者の専門家による建物設備点検を年1回以上は実施できる。

打診棒で叩ける範囲の簡易調査はその専門家であれば信用できよう。専門家の手によって浮きが発見できる確率はとても高い。

 


 



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