マンションデべロッパーとはマンションの事業主を指す。一般的には売主という立場にある。
このデべロッパーが曲者なのだ。
デべロッパーの本質を見抜け
マンションというのは高額商品であり、購入者にとって一生に一度の大きな買い物となる。
実物を見てマンションを購入するのなら納得した買い物になるが、新築マンションの場合、完成する前に購入するケースが多い。これを青田売りというが、実物を見ない買い物なので購入後に揉めるケースが多い。
デべロッパーの本質は、購入後の対応に隠されている。
マンションは人の手によって作られる。だから完璧な建物などこの世に存在しない。それを補うために無償の手直し期間が設けられている。これをアフターサービスというが、この手直しで揉めるケースが多いのだ。
デべロッパーは、マンションを早期に完売して利益を出す、その繰り返しで事業経営が成り立っている。このサイクルに狂いが生じると最悪倒産という結果を招くのだ。
だからデべロッパーは自らの利益を削ることを嫌い、手直しなどの経費に対しては消極的な考え方を持っている。これが根底にあることをマンションの購入者は知っておいてほしい。
実際にアフターサービスを実施するのは施工会社となる。デべロッパーと施工会社との間で、このアフターサービスを無償で行う旨の約定があるからだ。
そして、この約定に沿ってアフターサービス規準書が作成され、マンション引渡し時に購入者へこの規準書が手渡される。
引渡し後の手直しにあたっては、アフターサービス規準書に記された項目、保証期間が適用され、記載のないものについては、基本的に施工会社は対応しない。その場合、事業主の裁量によって行われる。
事業主が指示した建築資材、工法、仕様などにより生じた不具合は、事業主が対応することになるのだが、この手直しにはお金が掛かるから、言い訳ばかりで手直しがなされないケースは少なくない。
これをするしないで購入者と揉めるのだ。
デべロッパーは売っておしまいという考え方が根強い。面倒なことは全て施工会社に押し付ける、管理会社に押し付ける、自らは動かない。全てのデべロッパーとは言わないが、私の知る限り横柄なデべロッパーが多いのは事実である。
逆にアフターサービスがしっかりしているデべロッパーも存在する。アフターサービス期間中、マンションに担当者を常駐させている企業もある。
きめ細かなアフターサービスができるデべロッパーは実に素晴らしい。お客様を大切にする良い企業といえる。
ちなみに私が勤務していたデべロッパーは、すこぶる横柄な企業であった。だから購入者からのクレームが多かったし、そこで反面教師として色々と学ぶべきことも多かった。
自省の念…
業者が悪いという前に
私がデべロッパー時代に社内の会議で重要視されたのは「どうすれば売れるのか」、これには本当に嫌気が差した。アフターサービスに関わる話は会議の中では全く出ない。
モノづくり、そして販売、そこで終わっている。
企業の考え方がマンションを作って完売させるためだけにある。その後を見ないから、様々なマンションの瑕疵に纏わる問題が繰り返し起きるのではないのか。
引渡し後の問題は軽視、売上は常に重視、これは現実として多く存在する。マンションの購入者にとっては、その引渡し後が大切なものとなる。そこを軽視しているということになる。
デべロッパーの良し悪しは、引き渡し後に顕著に表れるということだ。
瑕疵問題が発生した場合、業者に丸投げにしている企業は、完全に当事者を履き違えている。事が小さいうちに真摯に対応すればいいものを、軽視するから事がどんどん大きくなる。
そこで責任転嫁が始まる。業者が悪い…
社内の会議室で業者との責任の擦り合いをこれまで多く見てきた。
マンションの瑕疵責任は、全てデべロッパーの責任である。そこを自覚している企業は存在するのだろうか。
ネット上の口コミは意外と真実を語っていたりもする。マンションを購入する際は、チェックすべきであろう。火の無いところに煙はたたない。